イガイガの丹沢放浪記

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zoom RSS “フネノ平”を探る

<<   作成日時 : 2016/06/18 23:00   >>

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吉田喜久治さんの「丹澤記」を読んでいると、ときどき知らない地名や呼称がでてくることがある。変遷で一般的ではなくなった呼び名のこともあるが、土地訛りの呼称だったり、別称だったりと、調べても分からないこともある。“フネノ平”もそんな中の一つ、 神ノ川の近くらしいのだが、正確な場所が分からない。気になりだすとほっとけない性分は相変わらず。丹澤記の記述をもとに、自分なりの勝手な推理と推測で、フネノ平の場所を特定してみることにした。

神ノ川山ノ神[6:55]…平石沢右岸尾根…日陰新道合流[9:03]…フネノ平?[9:28]…県界尾根[10:03]…大室山[11:05]…大室山西ノ肩南陵…1240m廃道分岐[12:04]…間違いながら大谷沢[13:22]…大谷沢左岸トラバース径路[13:54]…日陰新道合流[14:32]…旧日陰沢橋[15:19]…山ノ神[15:28]

まずは、“フネノ平”を探るきっかけになった、丹澤記の一節を転記することにする。
地名等、原文のままです。
「長者舎からコソネみちを行く。光岩の対岸からまっすぐ登るみちもある。平石沢からいけるそうだがボサがひどかろう。牧野村の植林地だが若木なので展望にさしつかえない。小広い萱っ原。専ら炭俵の材料を提供している。展望は擂鉢の底みたいなところだから限られてはいるが、カネツキ、大ムレ山、大越路、大コーゲ、ヤタ沢の大タナ。とくにカザマキ西面と光岩がいい。」
もちろん、今まで、“フネノ平”の記述を見過ごしていたわけではない。「フネ」といわれる場所が、矢駄尾根の1250m付近、舟窪地形の緩斜面にあり、“フネノ平”は、ここのことだろうと勝手に思いこんでいた。しかし、丹澤記を読み返してみると、どうもつじつまが合わない。この「フネ」からでは“カザマキ西面と光岩”は、見ることができないのだ。植林が邪魔しているとか、地形が変わったからという理由ではなく、地理的に不可能なことに気がついた。

画像では、記述にある、鐘撞山、大室山、犬越路、大笄、風巻ノ頭と光岩が見えて、はたまた、矢駄沢の大棚まで見えるという、この 一見、バラバラに思える展望が見渡せる場所などあるのだろうか?

考えているうち、ふと、思い当たることがあった。
左は、丹澤記の巻頭に「カンノ川・ヒカゲ沢出合。カザマキ、袖平頭望見」とキャプションされた写真である。
撮影場所がどこか、およその見当はつくもののハッキリとした場所までは分からなかった。
しかし、写っている景色とその周辺の展望を考えてみると、もしかしてフネノ平からの眺めではないかと思えてきた。
この写真の場所を探しだして、実際の景色とキーワードを照合してみれば、フネノ平の謎は解けるかもしれない。
そう考えると、確率も高そうに思えワクワクしてくる。
さっそく探索開始である。

長者舎(ちょうじゃごや)集落があったのは井戸沢の出合近く、光岩はその対岸付近を指しているらしいことが分かった。“コソネみちを行く”のコソネとは、ソネが低く長い峰続きのような地形をいうことから、小さなソネ、おそらく平石沢右岸の平坦な尾根伝いのことを言っていると思う。ということで、長者舎の山ノ神の裏手から平石沢右岸尾根の末端に取り付き、馬の背のような尾根伝いをいく。
画像喜久治さんが、フネノ平を訪れたのは、昭和25年10月のこと、植林もまだまばらで、見晴らしもよかったはず。植林内にあった切り株の年輪を数えてみると、およそ50本。喜久治さんが歩いた当時、このあたりはまだ、植林されていなかったのかもしれない。

右下に平石沢の沢音を聞き、左の樹間から、日陰沢橋あたりを見ながら、なだらかなコソネみちを行くと、やがて急勾配の植林斜面にかわり、わずかな踏跡を追いながら登っていく。

“擂鉢(スリバチ)の底みたいなところ”とあることから二重山稜か舟窪地形だろうと考え、地形図で推測してみると、この尾根の900m、1130m、1280mで尾根が合流するあたりがアヤシイ。ここからの眺めが写真と合致すればよいわけだ。

900mの尾根合流地点はヒノキが隙間なく育ってまったく展望は効かず、風巻ノ頭方向の写真を撮りたいのだが、ヒノキが邪魔で撮れない。肉眼でわずかに見える風巻ノ頭の角度から判断しても、標高が低く、キーワードとなる展望地もほとんど見えないのでここは違うようだ。
さらに植林の斜面を登っていくと、付けかえ前の日陰新道とぶつかり、さらに1130mで今の日陰新道と合流した。
ちょうどこのあたりが、一番疑わしいと思っていた場所だ。フネノ平の解明のポイントとなる展望のキーワードをチェック、鐘撞山、大室山、犬越路、大笄、矢駄沢の大棚、風巻ノ頭西面、光岩が見晴らせるだろうか?

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左奥に見えるのは黍殻山。その手前の山稜、左の尖がりは袖平山で、右の尖がりは蛭ヶ岳。写真からはずれてさらに右には大笄、犬越路まで展望は素晴らしい。袖平山の手前下の尖がりは風巻ノ頭だが、それより下は残念ながら植林で見えず、左手には鐘撞山が見えているはずだがやはり植林で見えない。うしろを振り返れば大室山の山頂付近が大きく見えている。
そして、一番疑問符がつく、矢駄沢の大棚はどうだろう?
さすがに大棚は確認できないが、矢駄沢の谷筋はハッキリ見えることがわかった。

これで、ある程度の確信はもてたので、とりあえず、同じ角度で証拠の写真を撮ろうと思ったが、点在するヒノキが邪魔。肉眼なら余計なものを脳が除去して画像処理してくれるが、賢いデジカメではそうはいかない。なんとか探しだした植林の隙間から撮ったのがトップの画像なのだが、少し角度はズレているようだ。

家に戻ってから、残る疑問を解決するため、カシミール3Dで矢駄沢の大棚付近からの展望をシミュレーションしてみると、なんと、ちゃんと1130m付近が見えているのだ。もちろん、今は植林が育って見えないが、昔は見えていたのだろう。 参考画像
ついでに、植林で見えない風巻尾根の下方もシミュレーションしてみると、ちゃんと日陰沢出合が見えていることが確認できた。 参考画像

巻頭写真を撮った場所は、ここで間違いなさそうだが、フネノ平がここだと断言するのは早そうだ。なぜなら“スリバチの底みたいなところ”という表現には当てはまらないなだらかな斜面で、炭俵にできそうなカヤもない。
少し、周辺をうろついてみると北側にカヤトがあった。もう少しうろつくと、舟窪状の窪地もある。
しかし、ここが「フネノ平」だと言いきるほどの決定的確証はない。

もう一箇所気になる、大室山と鐘撞山への尾根が分岐する1280m付近まで登ってみる。
ここも、キーワードとなる展望の条件は満たしているのだが、巻頭写真よりはあきらかに標高が高すぎる。

画像

結局、フネノ平の場所を断定するまでは至らなかったけど、おそらくは日陰新道の1150mのあたりの緩斜面のことだろうと思う。

もし、フネノ平の正確な場所をご存じの方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報ください。

常人にはどうでもいいことを、ウダウダと御託並べてこだわるのって、けっこう楽しいね♪
やっぱり、オレってヘンジンなのかな?

 2016.6.18(土)

 《今回のルート図》

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
イガイガさん

この文章を読み込んでいくと・・・
【 展望は擂鉢の底みたいなところだから限られてはいるが 】

文脈からは、丹澤記の巻頭写真のあの風景全体を捉えて「擂鉢の底」
と言っている様に感じるんですが、如何でしょうか
長者小屋がまさに底ですよね

と、言う事は
その写真を撮った所が擂鉢状の所ではなくて・・・

案外的を射てるかもしれませんよ!!

僕は土地勘がないので、地図と写真からの考察ですが
丹澤記の巻頭写真は見ればみるほどいい写真ですね
あの風景を眺めてみたくなりました
M氏
2016/06/24 20:03
長者舎でしたね!!

2016/06/24 20:06
確かに擂鉢の底を覗いているように見えますが、実際の景色は周り180度以上展望がきく場所なんですよ。下の方は植林で見えないけど。
それに、フネノ平なのでフネが気になる、窪地だと思うんだよなぁ…

簡単に行ける場所なので、トレラン大会にぶつからないときに行ってみてください。
イガイガ
2016/06/25 01:44
こういうの嫌いじゃないので、
的外れかもしれませんが、原文を頼りに推理してみました。

まず気になるのが「光岩」の位置。
イガイガさんの言われるように、井戸沢の出合の対岸付近だとすると、
『光岩の対岸からまっすぐ登るみちもある』という記述は
P668m北東尾根の可能性も考えられますね。
ということで、私は平石沢左岸尾根ではないかな?と考えました。

この尾根なら、
『平石沢からいけるそうだが・・・』にも該当します。
そして『 擂鉢の底みたいなところ』という記述は
P668mとその左の小ピークの間と言えなくもないかなと・・・

ただ、そこが『小広い萱っ原』だったか、
そして『カネツキ、大ムレ山、大越路、大コーゲ、ヤタ沢の大タナ。
とくにカザマキ西面と光岩がいい』という展望地かどうかは
行ってみないと分かりません。
はっぴー
2016/06/25 14:20
あくまでも、写真がフネノ平としての話ですが、・668あたりからでは標高が低すぎるのですよ。ここからは袖平山は風巻ノ頭に隠れて見えない。
それよりも、もっと登って県界尾根・994の南東950m付近がアヤシイと考えます。植林だらけだったように記憶しているので、展望は分かりませんが、机上で考えていても埒があかないので、やはり行ってみるのが一番ですね。
イガイガ
2016/06/25 15:19
フネノ波平? サザエさんっすか??

と申し上げたかったのですが自粛しておりました。が堪えきれずに参上しました<(_ _)>
「フネをひっくり返したときに舳先が見える平らなところ」と解釈すると、イ師匠の?マークから南南東に100mほど下ったあたりはどうでしょうか? 「大岩沢」の「大」の字の東にある広葉樹林マーク付近、イ師匠が帰路にお通りになったところですが。
TI-AEK27
2016/06/26 00:51
磯野波平?磯野フネ?
まあ、それはともかく、ヒントがこの短い文しかなく、写真が決め手になるかどうかも分からないので何とも言えません。現在この周辺は植林の真っ只中で、全く展望なしです。
それより、社宮司沢のコメント欄に堰堤の名称追記したの見てますか?
イガイガ
2016/06/26 04:54

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