イガイガの丹沢放浪記

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zoom RSS キュウハ沢から丹沢三ツ峰へ

<<   作成日時 : 2007/02/26 01:07   >>

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丹沢の山中には戦時中、墜落した海軍戦闘機や米軍の軍用機がいくつかあるようだ。
そのほとんどは回収され、また年月がたち土砂に埋り、今はもう痕跡をみつけるのは困難なようである。
しかし、ただ一箇所、キュウハ沢の出合近くには日本軍の戦闘機のエンジンが慰霊碑として残っている。
以前、キュウハ沢を遡行した時には気づかず、ずっと忘れ物をしたようで気になっていた。
今回、あらためて訪問してみることにした。

早朝の塩水橋にはすでに数台の車が止まっていた。
今はまだ禁漁期間なので車は少ないが、3月にはいると解禁になり、朝早い釣師たちの車でいっぱいになってしまうだろう。
本谷川林道を50分ほど歩いてキュウハ沢に着いた。
右岸沢沿いからキュウハ沢にはいると、最初の堰堤はそのまま沢沿いに越えていける。
二つ目の堰堤はちょっとやっかいだ。右手の岩溝から堰堤のホールドをつかんで登れば問題ないのだが、そこまでどうしても流れに入らなければならず濡れてしまう。
きょうは普通の登山靴なのであまり濡れたくないのだがいたしかたない。一歩、二歩、水の中にはいりホールドをつかんで堰堤を越えていく。
三つ目、四つ目も右からホールドを使って簡単に越えていく。
画像そして、五個目の堰堤を越えようと、右手の崖下に近寄ると、そこには茶色く錆びたエンジンが半分、土砂と枯葉に埋まって、コンクリートの台座に固められていた。
右側には木製の遭難碑があり、うっすらと何か書いてあったのはわかるが、まるで判読できない。
そして花がなくなり、発泡スチロールだけになった花輪と、中身のなくなったスコッチウイスキー、厚木の地酒のワンカップ、日本茶のペットボトルが供えられていた。
錆びて折れているものもあるが、エンジンは9気筒2列の18気筒なのが確認できる。

「ヒコーキ雲」という飛行機マニアのサイトをみると、このエンジンは中島の“誉ハ−45”らしく、この空冷複式18気筒エンジンを搭載していた代表的な戦闘機は、「疾風(はやて)」や「紫電改(しでんかい)」であったらしい。
その他、いろいろな情報を総合してみると、このエンジンは「疾風」の物というのが一番有力なようである。

古いキュウハ沢の遡行記録をみると、今のこのエンジン慰霊碑の上流にある、キュウハ沢の大滝付近で墜落機を見たという記述は多い。
昭和58年に撮影された、沢に埋まったエンジンの写真もあった。
少なくてもその頃までは墜落現場に放置されていたようだ。

これはあくまでも推測なのだが、おそらくその後、機体残骸の回収が行われたが、エンジンはあまりに重く回収作業が困難だったため、堰堤の脇に慰霊碑として残したのではないだろうか。
慰霊碑に黙祷。きょうの一番の目的は達せられた。

画像このあとはキュウハ沢の大滝を観て、キュウハ沢と四町四反ノ沢(よんちょうよんたんのさわ)の中間の尾根を登って竜ヶ馬場(りゅうがばんば)にでるつもりである。

5番目の堰堤を登ると、いよいよ沢らしくなってきた。
この先、キュウハ沢のF1から大滝までの間のゴルジュが、この沢一番の核心部なのだが、きょうは巻いていく。
F1手前の右岸に出合っている小沢を登り、右にトラバースしてキュウハ沢を右下に見降ろしながら、危なっかしい巻き道をたどって大滝手前、四町四反ノ沢の出合にでる。
キュウハ沢の大滝は落差10mほどのきれいな直瀑である。

昭和58年の沢に埋まったエンジンの写真から、戦闘機の墜落現場を特定すると、大滝手前、ゴルジュ最後の2段に続く滝の下あたりだったようである。
大滝の右岸から尾根に取り付き、急な斜面を登って行くと、やがて傾斜角も落ちアセビの多い歩きやすい尾根に変わった。
左には三角ノ頭、右には丹沢山につづく天王寺尾根の稜線が見える。想像していたよりはるかに歩きやすい尾根だ。
標高をあげていくと、左の大崩壊からは歩いている間にも、時よりガラガラと岩の崩れ落ちる音が聞こえてくる。
画像丹沢主脈縦走路も近づいてくると、一面笹原になり、なかなかよい雰囲気だ。
途中ふり返ってみると、手前に三角の頭、その奥に長い稜線の長尾尾根、そしてその奥に大山が見える。写真は稜線近くの笹原から見上げた縦走路である。
そして笹原を左にトラバースぎみに登って行くと竜ヶ馬場の休憩ベンチにでた。

ここまでは予定通り、ここから先はその時の状況で戻ることにしていた。
きょうは天気もよし、体調もよし、時間も早い。ということで丹沢山から丹沢三ツ峰の本間ノ頭南東尾根をくだって塩水橋に直接降りるコースをたどることにした。

20分ほどで丹沢山へ、富士山から南アルプスが景色がきれいだ。
丹沢山をすぎ、瀬戸沢ノ頭付近まではところどころ融けた雪が凍っていてすべる。
太礼ノ頭(たれいのあたま)をくだって円山木ノ頭(えんざんぎのあたま)の急階段を登りきり、またくだる。
丹沢三ツ峰は太礼ノ頭、円山木ノ頭、本間ノ頭のことを言うが、実際は円山木ノ頭と本間ノ頭の間に、もうひとつ標高も同じくらいのピークがある。本当は丹沢四ツ峰なのだがこのピークは少し引っ込んでいるため、二つのピークに重なり、遠くからは見えない。そのため三ツ峰に数えられず仲間はずれになってしまったようだ。今は無名ノ頭などと呼ばれている。

その無名ノ頭をすぎ、本間ノ頭に着いた。
本間ノ頭の南東尾根に乗るには宮ヶ瀬側に8分ほどくだり、特別保護区の立て看板の所から登山道を離れ右の尾根をくだる。
乗ってしまえば踏み跡も明瞭で問題ないが、塩水橋に直接降りつくには標高950mを切ったあたりで右にくだらなければならず、そこだけが要注意である。

わかりずらい所だが見逃さず、右にくだると急傾斜の尾根に乗る。
ここからはモミや赤松の巨木も多く、自然林が手付かずで残っている。
忠実に尾根をたどって植林帯をすぎると、塩水橋際の“塩水山神”の祠に降りてきた。

きょうは帰りの長い林道歩きもなく、適度な疲労感の快適な周遊コースをとることができた。
2007.2.25   
《今回のルートはここをクリック》(国土地理院1/25000改 地図は拡大します)
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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
キューハは、地図で見て居る限りでは何とか行けそうな気がしてましたが、みやま山荘の石井さんが仰って居りました通り、私などの近づけない神域で有ること良く判りました。
また、丹沢山の東側、地図を良く見ると、どの尾根にもガレの記載が有り、イガイガさんの登られた尾根には有りませんが、こんな地形では記載のない小さなガレ場が沢山有るんでしょうね。
2列18気筒星形エンジン、懐かしい記述、そう言えば、私が在学して居た、旧制工業学校の機械科実習室に飾って有った星形エンジンが進駐軍に見つかり、担任が追放になった事思い出しました。
よぼ爺
2007/02/26 09:34
キューハ沢を丹沢山に登る登山路とするのはちょっと厳しいです。
キューハ沢の出合から縦走路に登るのであれば、いくつか経路は考えられますが、現時点では三角ノ頭経由日高が一番簡単だと思います。
今回私が登った尾根も、尾根の取り付きまではちょっと面倒ですが、尾根自体は悪場もなく、思っていたより快適でした。
イガイガ
2007/02/26 16:09
お疲れ様でした。快挙ですね!。
私も行った時のことを思い出します。
ゴルジュに入り一つ目の滝の右を登ったまでは
良かったものの、後は成す術は無く見事に
敗退したのでした。
戻って小沢のところから手沢方向へと斜上し
手沢を下に見る尾根に出ました。
少し下へと下り手沢を越えて目出度く
尾根へと取りつけたのでした。
イヤイヤ・・!あの超自然。素晴しい!
別世界でありましたネ。
下山のルートもお見事です。
私はオロオロしたのです(情けない・・)。
M-K
2007/03/01 13:55
キューハ沢のゴルジュはF2がやっかいですね。
直登はシャワークライム必至、巻きもけっこうびみょうで怖い。
夏なら挑戦しますけど、この時期やめて正解でした。
イガイガ
2007/03/02 00:03

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