同角ノ頭南西尾根とユウシン間ノ尾根

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先月、はっぴーさんを案内しながら檜洞を遡行したときのことである。
檜洞と友信沢の分岐まで遡って来たとき、この分水嶺は、まだ歩いていないことに気がついた。
檜洞と友信沢を分ける堺尾根のことだが、最近はあまり耳にしない“ユウシン間ノ尾根”とか“ユウシン歩道”なんて呼称が古い資料に残っている。

かつては普通の登山ルートだったが、今の登山地図には記載がない。難しい尾根ではなさそうだし、そのうち歩こうと思いながら、ついつい先延ばしして機をのがしていた尾根である。
檜洞から、帰りの道すがら、GWになったら一人で歩いてこようと密かに考えていると、それを見透かしたように「それで、いついくの?」と聞いてくるはっぴーさん。「えっ?ナンのこと?」とスッとぼけてはみたもののバレバレ、先ほどひとりごとで言っていたのをしっかり聞いていたらしい。
単独はズルいと、抜け駆け禁止令が発令。ユウシン間ノ尾根だけでなく、はっぴーさんが未踏だという同角ノ頭をオマケにつけての強制コラボが決まった。

                                            ■新緑のブナの木には青空がよく似合う
玄倉林道ゲート[7:08]…立間橋[7:19]…仲ノ沢林道…穴ノ平橋[7:54]…仲ノ沢径路[8:05]…欅平[9:02]…東沢出合[9:07]…同角ノ頭南西尾根[9:27]…同角尾根合流[11:26]…同角ノ頭[12:10/12:35]…檜洞乗越(仲ノ沢乗越)[12:56]…経角沢[13:04]…金山谷乗越沢[13:40]…金山谷乗越[14:22]…金山谷ノ頭[14:33]…ユウシン間ノ尾根(ユウシン歩道)…1338mピーク[15:00]…1280mピーク[15:20]…檜洞友信沢分岐[16:03]…石小屋沢出合[16:40]…ユーシンロッジ[17:02/17:08]…玄倉林道…玄倉林道ゲート[18:32]


まずは、はっぴーさんの名誉のため、誤解のないように一言。けっして脅かされたり、見透かされたりしたわけではありませんよ。うまく乗せられ、喜んでお共させていただいているだけです。本当です、ハイ。

そんなこんなで、ユウシン間ノ尾根と、はっぴーさんリクエストの同角ノ頭をからめるため、玄倉林道ゲートに車を置いて、時計回りのコースで考えた。
玄倉林道ゲートから仲ノ沢林道、仲ノ沢径路で欅平へ、東沢出合から同角ノ頭に至る南西尾根に取り付き同角尾根に合流したら同角ノ頭へ。同角ノ頭からは同角山稜を檜洞乗越(中ノ沢乗越)まで下り、経角沢に下降して先日歩いた金山谷乗越沢で金山谷乗越まで行く。この間の登り下りが無駄な動きに見えるかもしれないが、檜洞丸越えを避け、時間と体力の省エネショートカット路として考えた。
そして、金山谷乗越から金山谷ノ頭に小さく登ってユウシン間ノ尾根を下降、檜洞と友信沢の分岐へ降りたら、あとは檜洞沿いを下ってユーシンロッジへ至る、ざっとこんなルートである。
ここまでくればしめたもので、多少時間が遅くなって暗くなってももう心配ない。
一応目標は、玄倉林道をヘッデンなしで歩ける時間までにユーシンロッジに到着することとした。

  ■仲ノ沢林道からみる同角ノ頭(中央)、きょう登るのは右側の尾根
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日の長いこの時期だからできるロングコース、体調は万全でといきたいところだが、どうも朝から目まいがしていけない。体の具合は悪いというわけではないのだが、年に一二度ひき起こす絶不調の前ぶれ、イヤな予感だ。

7時、玄倉林道ゲート前に到着。支度を終えたら林道を少し戻って立間橋を渡り仲ノ沢林道を行く。
林道の途中からはこれからむかう同角ノ頭がよく見える。
左に弧を描くように山頂に伸びるナガザレ尾根、右に伸びるのは東沢乗越に至る同角尾根で、手前から合流するのがきょう登る同角ノ頭の南西尾根だ。

GW合間の晴れの日、きょうあたりは小川谷で水遊びする連中もたくさんいるのだろうと思っていたのだが、意外にも県民の森手前の空き地も奥の駐車スペースも止まっている車は一台もなかった。

仲ノ沢径路を歩くのは久しぶりだ。話には聞いていたがけっこう整備され歩きやすくなっている。
欅平手前の崩壊地は前より悪くなっていると聞いていたが、上、下に巻かずにそのままトラバース、個人的には以前よりルートが固まり通過しやすくなったように思うのだが。

欅平に着くと無粋な保護柵で巨大迷路状態、すでに倒木で潰れた柵もある。
自然保護の名目なんだろうが、これを設置する場所っていったい誰がどうやって決めているんだろう?

  ■仲ノ沢径路
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  ■欅平
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東沢の庭園風出合で一息ついてから同角ノ頭南西尾根先端に取り付く。
この尾根、乗ってしまえばよい尾根なのだが、はじめがちょっと悪い。
出合から直登するとコブを一つ越えて鞍部になり、無駄な登りになる。
東沢側から鞍部に乗るため、右岸の旧径路に沿って一度東沢に入り、南西尾根のコブを回り込んでから鞍部に取り付くと無駄な体力を使わない。
鞍部からは沢に挟まれたヤセ尾根歩きで、両側に落っこちそうなところだ。
そこから太尾根に取り付くところが崩壊ぎみで少々やっかいだが、二重のボロボロ尾根の右側のほうがいくらか登りやすそうに見える。
ザレ渡りで右に移り、浮き出た根っこをつかんで尾根に上がればもう大丈夫、傾斜もゆるんで歩きやすくなる。
ここからは、ブナの新緑が青空に映え、左にそびえる石棚山稜後方を振り返れば富士山も見え気持ちのよい登りになる。

尾根に乗れば、ペースアップするところなのだが、いっこうに体が前にでず、まったくペースが上がらなくなってきた。
決してはっぴーさんのペースが速いというわけではないのだが、ついていけない。先を歩くはっぴーさんとの距離が、どんどん離されるようになった。
先ほどまでは大丈夫と思っていたのだが、心配していた目まい症状があらわれはじめた。

お花大好きのはっぴーさんには、ゆっくり花の写真を撮りながら登ってもらい、距離が開いたら適当なところで待っていてもらう。とりあえずマイペースで登るが、フラフラで夢遊病者のようだ。
追いついては離れ、お花撮影タイムの間に追いついてはまた離れ、そんな繰り返し。
立ち止まって休むと最悪で、目の前が真っ暗、立ちくらみだ。

覇気のない登りで、東沢乗越から続く同角尾根と合流すると、岩ゴロゴロの尾根になり黙々と登る。
やがて角の尖った大岩ゴロゴロになってくると同角ノ頭の山頂は近い。
苦しいが辛抱のしどころ、大岩の間を縫いながら登っていくと同角ノ頭の指導標とベンチの裏側に辿り着いた。


  ■東沢出合
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  ■同角ノ頭南西尾根取付き付近のヤセ尾根
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  ■同角尾根から富士山を観る
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                 ■岩尾根になってくる
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  ■岩が大きくなってくると山頂近し
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  ■最後は同角ノ頭ベンチ裏へ
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どうにかこうにか同角ノ頭に到着、普段は休憩中でもあまり座ることはないのだが、きょうは立っているのもつらく、なりふり構わずベンチでゴロ寝。

ここで昼休憩、まだ全行程の半分以下だが、ここからは下りがほとんどなので大丈夫だろう。
同角ノ頭も南西尾根も初めてのはっぴーさんは見るものすべてが新鮮な景色に感動中だが、こちらは何度も来ているし、だいたい今は感動している余裕がない。

同角山稜を下って檜洞乗越(中ノ沢乗越)から経角沢へと下降する。
前日の雨のせいか、きょうの経角沢は水量が多いようだが、沢沿いを歩くので沢靴なしでも支障はない。
唯一ある、ナメ床の滝場も沢靴を履かなくてもフリクションよく、多少濡れながら下っていくと見覚えのある金山谷乗越沢の出合に着いた。ここも先日歩いたときよりも水量が多い。
分岐は右へ、右へ、右へ、と進んでいくと金山谷乗越の桟道が見えてくる。ここは地形図でみる印象よりも意外と近くラクに感じる。

  ■同角山稜登山道を下る
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  ■檜洞乗越から経角沢へ
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  ■経角沢唯一の滝場はナメ滝の連続
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  ■金山谷乗越沢から金山谷乗越へ
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体調は、最悪だった午前中よりはいくらか回復傾向だが、まだ本調子とは言えず、金山谷乗越から金山谷ノ頭への最後のひと登り、これだけでもつらい。
乗越崩壊地の鉄橋から通行止のロープをくぐって登っていく。
少し登り返せば金山谷ノ頭だ。
ここからは二人とも未踏の尾根道、RFを楽しもうと意気込んでみたところで、けっこうテープべたべたで迷うことはなさそうだ。
とはいっても肝心なところにテープがなかったりするので、テープ頼りの山歩きはダメ、要所のチェックは大事である。

今はあまり歩かれなくなったユウシン間ノ尾根だが、かつてはユーシンから檜洞丸や蛭ヶ岳への一般ルートだっただけあって、今でも歩きやすく、十分現役として使える尾根道である。
ただ、玄倉林道が車で入れず、ユーシンロッジも閉鎖で宿泊できないとなればアプローチは遠く、尾根に取り付くまでの檜洞左岸径路の荒廃と沢の中の通過を考えると近づき難い道であることは間違いない。
それがかえってV魂をそそったりもするのだが。

金山谷乗越からユーシンへの下りの場合は、金山谷ノ頭から南東に進み尾根筋を辿る。
小さな登り下りはあるが、ほぼ平坦といってよい尾根道が続き、・1280ピークをすぎたあたりから少し急になり、1150mあたりで尾根を乗りかえるようなところがある。マークと地形図確認で迷うことはない。
やがて右下から檜洞、左下から友信沢の水音が聞こえてくると、尾根は花道のようにまっすぐ続く気持ちのよい下りになり、最後は檜洞と友信沢の分岐地点に下りていく。

  ■ユウシン間ノ尾根、・1338mピーク
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  ■尾根模様
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  ■まるで花道のような尾根
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ここからは先日歩いたばかりの檜洞を戻るだけなのだが、きょうは、ミニ吹割滝下の淵も水かさが増して四苦八苦、前日までの低気圧で降った雨で水量がふえているようだ。

魚止滝の右岸も下降だと気を使う。もう一段高い巻き道を使い下降する。

石小屋沢出合で左岸径路に上がろうとすると、意外や意外、単独の登山者が目の前を通り過ぎていった。
けっこう慣れた足取りなので、この山域にも精通している人のようである。

  ■檜洞・友信沢分岐に下降
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  ■石小屋沢出合
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  ■ユーシンロッジ
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ユーシンロッジに着いたのが5時、調子がよければ、もう1時間ぐらい前には着いていたと思うのだが、この絶不調ではよくぞ辿り着いたといったほうが本音、当初の目標はなんとか達成できそうで、玄倉ゲートにはギリギリ暗くなる前にもどれそうである。

体調不良で山歩き強行なんていうと、お叱りを受けそうだが、要因はわかっているので本人あまり気にしていない。
それにしても、浮石で転んでケガ、低血圧発症、醜態さらして介護コラボになってしまい、はっぴーさんには迷惑をかけてしまった。
それでもなんとか未知尾根二本を完歩できたのでヨシとしてください。
本当にお疲れさまでした。

驚怖の後日談は、別にUPしようと思います。

2012.5.5(土)
《今回のルート図》国土地理院1/25000改

この記事へのコメント

  • はっぴー

    気候の良い快晴のもと、体調不良でのロングコース、お疲れさまでした。

    前回の檜洞で、空腹時に甘いお菓子でうまく釣ってシメシメ♪
    と思いきや、今回は途中からヒヤヒヤでした~
    でも、経角沢や最後の檜洞の下りなどの危険ゾーンではシャキッとリード、
    さすがイガイガさんでした。
    初登頂の同角ノ頭からの景色は最高~!!ありがとうございました。
                         ぼけナ~スより (^^)
    2012年05月10日 15:24
  • イガイガ

    どうもどうも、ぼけナースさまの介添えのお陰でどうにか戻ってこれました。
    一時はどうなることかと・・・

    へろへろスクープ写真が流出しないことを祈ります
    2012年05月10日 17:34
  • M-K

    イガイガさん
    お疲れ様でございます。普段ガシガシの人が弱音を吐くと何故か嬉しくなるのでございます。とは不謹慎であって、失言いたします。この2本を繋いでやるのはM-Kには無理そうですね。切り離していつかは踏破するつもりです。何か事件発生の臭いがいたしますが、ボ~ナス(違うか?)つきで良かったです。ヘロ・スク画像が流出することを願っています。(殴)
    2012年05月10日 19:07
  • イガイガ

    M-Kさん、数年前に一緒に行った竜ヶ馬場の尾根、あのときと同じでした。
    体温下がった爬虫類のように体が動かない…
    山じゃ弱音を吐いてもはじまらないので必死ですけどね。

    どうも、スクープ写真があるようです、裏から手をまわして握りつぶさなくちゃ・・
    2012年05月11日 06:43
  • yamajinn

    やはり猛者。低血圧でめまいがしても計画通りとは恐れ入ります。
    しっかりナースがいたからでしょう。

    2本の尾根を1日でこなすとは驚きです。それでも少し、優越感に浸っています。
    下った界尾根、2年ほど前にイガイガさんより先に登っていることです。
    さらに、登った尾根を、ハッピーさんよりも先だったことです。
    別に競争して登っているつもりはないですが、Vルートベテランより先に行ったというのが、嬉しくて堪りません。
    2012年05月11日 07:10
  • イガイガ

    yamajinnさん、ドップリと優越感に浸っていただけたでしょうか?
    こんなことで喜んでいただければ本望です

    どこでも放浪しているように思われがちなのですが、偏屈で片寄りがあり、まだまだ踏み入ったことのないところはたくさんあります。
    それが意外と名の通った尾根だったりしますけど、大倉尾根とか(笑)

    未知尾根制覇なんて野望はないのですが、やはり歩いていない尾根は気になるものですね。今回の尾根も行ってみてよかったです。ホントにイイ尾根でした。
    2012年05月11日 09:39
  • はっぴー

    yamajinnさん (イガイガさん コメント欄お借りします)

    イガイガさんはVルートベテランですが、私は違いますよ~(^^;
    歩いていない所、あり過ぎなんですが、
    行きたいと思う所があっても、なかなか行かれないのが実情です。

    今回の同角ノ頭の登下降ルート、
    もし逆だったらまたまた階段地獄でした~(^^)
    あの山頂ベンチでお昼寝したら、さぞ気持ちいいでしょうね。
    あっ、横になって倒れてた方いましたっけ(ボカッ!)
    2012年05月11日 13:02
  • M-K

    レディース&ジェントルマンへ

    フッフッフッ・・、5,11,13:02情報にて状況が解読できたのです。
    そうですか・・、低体温症の爬虫類もどきチャンが倒れていましたか・・。
    激撮、スクープ、盗撮・・。秘かに今度拝見させて下さいませ!
    マ、私の場合はベンチの木でいつもくたばっておりますが・・。(^^);
    2012年05月11日 18:13
  • イガイガ

    ハハハ、M-Kさん残念でした。
    的ハズレです。事件はそれではありません。
    時間差で新記事をUPしてありますので、正気でいられたらぜひそちらをご覧ください。
    2012年05月11日 18:19