5年ぶりに弥七沢へ

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久しぶりの弥七沢。たぶん5、6回は来ていると思うのだが最後に訪れた5年前にヤマビルに遭遇してからは遠のいていた。別にヤマビルが嫌で来なかったわけではなくたまたまなのだが、なるべくなら出遭いたくないものだ。そんなわけで気にせず歩ける今の時季にやってきた。
玄倉林道も仲ノ沢林道も一般車両の乗り入れは禁止されたままなので玄倉の無料駐車場から出発、弥七沢の出合まで気楽に入れた頃が懐かしいが、オレが元気で山歩きできるうちに解除になるのは無理っぽい。45分ほど歩いて台風19号の爪跡が残る弥七沢出合に到着、林道の路面が半壊していた。右岸から沢に降り、すぐの堰堤は左岸の手すりを登って越えるのだが倒木が寄りかかっていてじゃまくさい。抱きつくようにして跨いで越え、沢に入るとさっそく落差5mのF1が水を落としご対面である。

弥七沢は何度も訪れているが、この棚は迷わずいつも左壁を攀じ登って越えていた。しかし春先の岩はヌメりがひどく、足を置いた岩が滑りそうで落ち着かない。コケの洗われた水流の中にスタンスをとれば越えられると思うのだが、はじいた水を浴びそうで躊躇してしまう。夏なら気にしないが、今はまだ濡れたくない。ほかのルートがないか周りをキョロキョロしてみると、左のルンゼを少し上がって落口真横を小さく巻けば棚上に抜けられそうだ。少し高度感があるが、岩面にしっかりとしがみついた根っ子をつかんで慎重に越えた。

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F1を越えると沢幅がぐっと狭まり、右、左と曲がりながら続いていく。白いトーナル岩と翡翠色の澄んだ水、緑のコケに枯葉のコントラスト、イイねこの沢模様。

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Fナンバーをつけるかどうか少し悩むF2、4mほどのナメ棚。水流を登っても問題ないが左の岩壁にはなぜか脚立とトラロープがある。おそらく境界杭などを打つため測量時に設置したものだろう。

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沢筋が左を向いた岩陰に隠れるように水を落とす、弥七沢のシンボルであるヒョングリの棚。ウォータースライダーのような水流が下部の凹部で跳ねあがりヒョングっている。

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野心は起こさず、左手のカンテ状岩角に取り付いて右岸を高巻いていく。高みに上がるとヒョングリ棚の先には3~4mの小棚が連続しているのが観える。沢好きをそそる眺めだ。

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高巻きした右岸は垂直に近い崖なのですぐに沢には降りられず、たとえ強行して降りたとしても深い釜をもつ小棚を越えるのが難しそう。右岸に沿ったザレた径路らしき痕跡を伝っていくが落ちたらたいへん。慎重にトラバースして最後は三番目の小棚の上に降りるのだが、狭いうえに一箇所切れているので怖い。バランスを崩せば深い釜にドボン間違いなしだ。ビビリながらへつって何とか沢に復帰した。

ここから狭い谷底のガレゴーロがしばらく続きF3の7m棚に出合う。
この棚は左の壁に手頃なホールドがあり、岩も乾いているので安心して登れる。

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またしばらく狭いゴーロをいくと明るく開け幅広多段の棚。
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その上すぐに二段3mの棚(下段2m、上段1m)が続く。
落差はないが釜が深くヘリがヌメっているので落ちたらおぼれそう。
左に仕事用トラロープがあるのでつかみながら、へつって越える。

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V字の谷、イイねこの雰囲気
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迷路のような沢の分岐がふえてくるが水流の多い方を選んでいく。
しばらくFが付けられるような棚はなかったが左に曲がってF5。
乾いた岩なら何でもなく登れる傾斜だが日陰でヌメった岩面を直登するのはけっこう微妙だ。
以前はなかったトラロープが左岸に張ってあったのでつかまりながら、へつって越えていく。

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その先で右岸の赤い岩壁から岩清水が湧き出ている。
下部の割れ目からほとばしる一本が印象的だ。
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水流がはっきりしている棚としてはこれが最後の棚、8mの上にもう一段2mが続く。
右手の落口横に斜上する岩を登る。

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ここからは本流筋を詰めていく。奥に見えるのは弥七沢ノ頭。
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なるべく沢筋を詰めていくが、行き詰まる前に右岸に上がると岩盤の急斜面なった。
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岩盤の斜面を登ってニカニカ同窓会が行われた弥七沢ノ頭西側の稜線へ。
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本日の下山ルート
ご存じのように“同じ道は戻らず軌跡はキレイに”をモットーにしているので、よほどの場合をのぞいてピストンはありえない。まずは弥七沢ノ頭山稜から大杉山を経由して遠見山に向かう定番ルート、ここは1月に歩いたばかりなので詳細は省略。遠見山を南に下って戸沢ノ頭で左折、723m大ノ山の東端から玄倉第一発電所対岸のドン詰まり道まで下降するつもりである。

大ノ山の植林帯を抜けて東側に立つとミツマタの花がほころび始めた好展望地、丹沢湖を眼下に富士山も眺められる。密集するミツマタと枯れたスズタケを掻き分けながら南東に下降していくと玄倉集落の集合アンテナが立っていた。ここまでは太い尾根形を下ってくるので、ヤブを漕ぎながらだが、たどってこられる。そのまま南下すれば玄倉川橋西側の湖岸道に降りられることは分かっているのだが、あえて難しい方にチャレンジである。
天気がよいので玄倉集落や第一発電所の緑の導水管が樹間から垣間見え目標になるので簡単そうに思えるが、地形図に表れない小尾根の分岐があり意外と分かりづらい。読み違えると湖岸のコンクリートに固められた擁壁の上に立たされ泣きべそかくことになるので油断できない。方向を確認しながら下降していくが何度か間違いそうになった。そのたび軌道修正しながら急な斜面を下っていくと最後は沢の右岸になり、降りていくと階段を発見。無事に第一発電所対岸の行き止まり道に降り立った。

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行きがけに玄倉林道から確認しておいた下降位置、
ガードレールの切れたあたりに階段があり、そこに降りてくる。

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降りてから山側の壁を見ると法面はすべてコンクリートに固められた擁壁、少しでも下降位置がズレていたら降りられずにオロオロするところだった。荒れ放題で行き止まりの道から玄倉川橋を渡れば、車が待つ駐車場はすぐそこ。3時にビールはちょっと間に合いそうにないが、気持ちのよい青空のもと適度に緊張する沢歩きと楽しい地図読み下降ができて満足、満足。それよりなにより、密閉、密集、密接とは無縁な山遊びなのがイイね

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 2020.3.20(金)

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