「諸窪径路」再訪(後編)

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ひとには危ない、行くなと言っておきながら、懲りずにまたかよの声が聞こえてきそうな諸窪径路、先月に引き続いての訪問である。
諸窪径路に初めて挑んだのが昨年の10月、大滝峠側からチャレンジしたものの結果は散々で、ほとんど成果はなく失意に終わった。単独での探索に限界を感じ、2度目は助っ人kazさんとともに挑戦するも、見事に撥ね返され敗退。3度目は善六ノタワ側から単独でアタック、若干の手ごたえを感じつつも、靴が壊れるアクシデントで泣く泣く撤退となり悔しさを残した。あらためて完歩を目指した4度目は、ふたたびkazさんと挑み、今度はかなりの確証を得ながらも、後半の捨太郎沢で径路の行き先を見失い、大滝峠まであと少しというところで無念のタイムアウトとなった。
そしてリベンジに燃えた5度目の挑戦で、未踏部分の踏破と曖昧個所を解明して、ようやく善六ノタワと大滝峠の間を結ぶことができた。

総括の6度目は、はっぴーさんを迎えて大滝峠善六ノタワ間の完歩を目論んだが、この廃径路の難しさをあらためて思い知らされる結果に終わった。そして個人的には7度目となる今回、今度こそは完全踏破の思いでふたたび挑んだのだが…。
                           ■トップ写真/緑と茶色ばかりの山中に映えるヤマツツジとはっぴーさん
西丹沢自然教室[7:14]…本棚沢出合[7:52]…850mベンチ[8:09]…善六ノタワ[8:39]…諸窪径路探索開始[8:44]…本棚沢[11:17]…下棚沢左岸尾根[11:47]…下棚沢[]…1079m南西鞍部探索終了[13:49]…権現山分岐[14:28]…権現山登山口[14:51]…西丹沢自然教室[15:16]

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 ■善六ノタワに到着                         ■いざ、諸窪径路へ

西丹沢自然教室から、西沢沿いの登山道を進み善六ノタワに到着。ここで全員の高度計を930mに合わせ、道標を30mほど進んで登山道が小さく折り返す地点から、高度を保つように斜面に進入する。踏み固められた登山道とはここで別れ、10mも進むとさっそく崩れたザレ場だがこんなところで躊躇してはいられない。サッサと通過して径路らしき跡を水平にたどり、尾根をひとつ回り込むとすぐ右上に登山道の梯子が見えてちょっと拍子抜けする。
画像登山道下のザレを渡ると棚状の岩場になっていて、その岩壁に突き刺さっている鉄棒を、はっぴーさんがみつけた。以前ここを通過したときは、まったく気づかず通り過ぎてしまったが、おそらく安全確保の鎖がつけられていたか、桟道の支柱だったものだろうと思う。
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 ■すぐ上は登山道                        ■岩棚を渡るkazさん
 
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 ■岩壁に残る鉄棒                           ■ザレの乗った岩盤の横断は気を使う

幸先のよい発見に、気をよくしながら歩いていくと岩盤むき出しの悪場にぶつかった。
硬い岩盤の表面に細かいザレつぶが乗っていて、ズルッと滑ったら一巻の終わり、当然ドライバーも刺さらず、つかまるものもないのでバランスを取りながら慎重に渡っていく。
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  ■写真ではわかりづらいが、このあたりは径路が見えている(2枚)

岩盤を渡ると、この辺りの尾根の斜面では薄っすらと径路を感じながら進んでいくが、やはり、沢の源頭通過はわかりづらい。巻いて通過したあとは行き先を見失いがちだ。
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 ■本棚沢本流                             ■二宮尊徳?常に勉強を怠らず

それでも、途中までは手ごたえを感じながら、順調にいっているように思えたが、本棚沢左岸の支流をいくつか越えたあたりからあやしくなってきた。どうも歩いている高度が微妙にずれてしまったようで、径路の痕がはっきりしなくなった。
諸窪径路は一度はずしてしまうと復帰が難しく、とくに谷間の通過後に苦労する。
それでもどうにか本棚沢に降り立ったが、やはり前回とは少し違う場所にでてしまったようである。
何回も歩いていて、なんで間違えるんだと思われるかもしれないが、似たような景色で記憶がごっちゃになり、それっぽいバンドやケモノ道を、知らず知らずにたどっていることがある。
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 ■下棚沢左岸尾根の林業跡地                   ■唯一の展望、ザレ斜面からの前権現

本棚沢左岸もわかりにくいところで、わずか5mの違いでも気がつかない。二手に分かれてさぐってみたが、かなり高いところをたどっていた。おかげで下棚沢左岸尾根では、実際の径路の横断している1040m小ピーク林業跡地のすぐ西側の少し窪んだところより、標高差で30~40m高いところにでてしまった。
沢や尾根の通過地点の位置は覚えていても、そこに至るまでにルートを外してしまうのが悔しい。
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 ■絶妙のバランスでザレを渡る                   ■kazさんが岩に残されている鉄棒を発見

軌道修正のため、下棚沢左岸尾根を少し下って、径路のある林業跡地小ピーク近くまで移動、本来の径路痕を追って下棚沢側の斜面をトラバースしていくと、アリ地獄のようなザレの斜面にぶつかった。
滑りだしたら谷まで落ちていきそうなザレ場だが、こんなところでもケモノたちはよく知っていて、一番よさそうなところにザレの横断路ができている。
ケモノの足跡が残るザレ斜面をバランスを取りながら横断するのだが、前回の探索では少々腰が引けて乙女がはいっていたはっぴーさんも、今回はすっかり本来の女忍者を取りもどし、絶妙のバランスでザレを渡っている。
たびかさなる試練に悪場の免疫ができたらしいが、今回初登場の新兵器を装着した足元にも秘密がありそうである。

ザレ場を横断して続く径路痕をたどっていくと、スラブの岩盤が径路の延長線上にあり、水平を保って通過するのを邪魔している。たしか前回は上部を巻いて通過したところだったと思う。
先頭を歩いていたkazさんが、そのまま岩壁を水平にトラバースしていくと、岩壁に刺さったままの鉄棒を発見した。
これで、ここに径路が通っていた確証が得られ、極力同じ標高を貫くという、諸窪径路の信念を感じる。画像画像
 ■鉄棒にぶらさがって通過                      ■下棚沢、3m棚の下に降りていく

今度は外すことなく、正規のルートに乗って下棚沢にたどりついた。降りついた場所は3mの棚のすぐ下側で、すぐ下流側も滝になっているところだ。

ここは径路が下棚沢を横断している間違いない地点なのだが、右岸側に続く径路がどこだかさっぱりわからなくなった。右岸は急峻で崩壊地やガレた支流が多く、出だしをまちがえると復帰するのが難しい厳しい場所だ。違っているのがわかっても思うように歩けない場所なので、修正がままならない。そのままトラバースを続けて、どうにか広い尾根に乗った。
しかし、思い込みとはこんなものか、すでに畦ヶ丸と前権現を結ぶ畦ヶ丸南東尾根の1079m北西鞍部に立っていながら、三人ともそれに気づかず、現在地を誤認するという情けなさだ。
そして、そのことが招いた、三人揃って赤っ恥の大失態、それについてはここではふれずにおこう。

先回の終了地点はこの1079m北西鞍部、前回と今回を合わせれば大滝峠と善六ノタワ間を歩いたことになるのだが、諸窪径路初体験のはっぴーさんは別としても、何度も歩いて撥ね返されている男どもには、内容的にとても納得できるものではない。
スッキリと気持ちよく終わらせたかったのだが、今回もまた不完全燃焼でモヤモヤが残る。何度来てもまともに歩けたことのないこの難ルート、納得の歩きができるのはいつのことだろう。
2011.6.12(日)

《今回のルート図》国土地理院1/25000改

この記事へのコメント

  • なっぴー(笑)

    イガイガさん

    またまた お世話になりました。
    “有終の美”、“終わりよければ全てよし”とは真逆で、
    不完全燃焼の探索になりましたが、きっと「また、おいでよ」
    ということかもです(笑)

    ふふっ、確かに今回の格好は“二宮尊徳”に似てますね~(^^)
    2011年06月16日 12:59
  • イガイガ

    「はっぴー」改め「なっぴー」さん(笑)
    地味すぎるぐらい地味な山遊びなのに、懲りずにまた魅かれるのはナンなんでしょう?“拘り人間”のコンチクショー魂がそうさせるのかもしれませんね。
    はっぴーさんもkazさんも、コンチクショー組かな?

    二宮尊徳像って、昔はどこの小学校にも立っていたもんですが、すっかり姿を消してしまいました。
    西丹沢自然教室辺りに“はっぴー像”でも立てましょうか?
    2011年06月16日 18:35
  • tetuJA11

    こんばんわ。
    いつも諸窪径路の記録を見て気になっています。
    ぜひ後を追わせて頂きます。
    明日から日本一の滝を見に行ってきます。
    僕もイガイガさんと同じ落ち口ハンターなのですが落ち口見られないところで残念です~(笑
    2011年06月16日 21:25
  • イガイガ

    丹沢以外の滝は詳しくないので知りませんが、日本一の滝と聞けば気になりますね。落差がですか?

    諸窪径路、たぶん地味でつまらないと思いますが、気持ちよく撥ね返されてきてください。
    2011年06月16日 23:27