恐怖の接近遭遇

新型コロナ禍の緊急事態宣言下とあって、ブログの更新はしばらく控えるつもりでいたが、
書かずにはいられない出来事があったので記事にすることにした。

いつものように本谷の山中をほっつき歩いた帰り道、
塩水橋から札掛に抜ける秘密ルートの仕事道を歩いていたときのこと、
谷間の源頭近くの斜面中腹に、なにやら黒いものが動いているのが目に入った。

クマ ⁉ 
今は冬眠中じゃないのか?
もしかして、黒毛のカモシカとの見間違い…?
いや、あのシルエットはどう見てもクマだ‼

その真っ黒い塊は、右の方向から植林斜面を横切るようにこっちに向かってくる。
幸い自分の居る場所と、クマが移動してくる高さに少し高度差があり
鉢合わせはさけられそう、それにこちらの存在には気づいていないようだ。

そのままやりすごそうと、じっと息をひそめていると、
20mほど上の斜面を小走りに横切って走り抜けていった。
これでひと安心・・・

と、安堵しかけたところで
気配を感じたのか急に立ち止まった。

そして、こちらを振りむくと同時に目と目が合った!
ヤバイ 気づかれた!

即座に防衛本能が働いて、
襲ってくる距離ではないとは思うのだが油断はできない。
直線距離にして20mぐらい、相手は斜面の上側で自分が下だ。
すぐにでも背をそむけ逃げ出したい衝動をぐっとこらえ、しばしの睨み合い。
ガンを飛ばせば立ち去るだろうと思った次の瞬間、
きびすを返し凄い勢いで向かってきた。 

うそっ! 速い‼
逃げたところで追いつかれるし闘って勝てる相手じゃない。
いろんなことが頭をよぎったが肝が据われば意外と冷静だ。

ほんの一瞬、クマが立木の死角にはいったのを見逃さず
すぐ横にあった木の裏に身を隠した。
次の瞬間、目標を失ったクマは勢いがついたまま転がるように脇を駆け抜けていった。
ひるがえって襲ってきたらどうしようと思ったが、
勢いが収まったところで少しキョロキョロしたあと諦めたのか、
そのまま谷のほうに下っていってくれたので命拾いした。

しばらく、木の陰に隠れて様子をみながら立ち去るのを待ち逃げ出したが
また現れるんじゃないかとビクビクものだ。

温暖化傾向で暖かい冬が続き、丹沢のクマたちって本当に冬眠しているのだろうかと
疑念をいだいていたが、やっぱりアイツら寝てないんだね。
まさか自分がこんなかたちで体験して証明することになるとは・・・

とっさに撮った一枚なのでピンボケはご容赦。
てか、写真撮ってる場合かよ。

100_0273-1.jpg

中央の黒い塊がクマ。
体長はゆうに1m以上ある、けっこうデカい成獣だ。
距離は20mほど、このあとこちらに向かって突進してきた。

今まで何度かクマに出遭っているが、鉢合わせや子育てクマでなければ
大抵の場合は向こうが先に気づいて逃げていくか、完全無視され立ち去っていくかだった。
今回は近いとはいえ、防衛本能が働いて襲ってくる距離ではなかったと思う…
だが、何が気に入らなかったのか向かってきた。

クマに出遭ったら背中を向けて逃げ出しちゃダメってよく言うけど、それは本当だと思う。
けど相当度胸がいるよ。
それに第一、ヤツの動きは俊敏なので絶対逃げられない。
出遭ってみればよく分かるけど…

とにかく生きて戻ってこれたのでよかった、よかった。
とりあえず、帰ったら祝杯のだね。

2021.01.14(木)

この記事へのコメント

  • AY

    ご無事でなにより!
    さぞかし🍺の旨かったことでしょう(^-^)
    2021年01月15日 22:09
  • イガイガ

    恥ずかしながら生きて戻ってきました。
    思えば今まで、遭難騒動をいろいろ起こしてきましたが、今回もけっこうヤバかったです💦
    そろそろ潮時ですかね…
    2021年01月15日 22:55
  • レガー

    ご無沙汰しております。
    何とも、ご無事でよかったです。
    割と冬らしい寒さですが、ウロついていましたか。
    しかも突進してくるとは意外な行動ですね。
    出会った時の構えを組み立て直さなくてはと思いました。

    感染症、今年は落ち着いてもらいたいですね。
    落ち着いた際は、また山中で皆様と集う場を設けたいなと(^^)
    その際は、ぜひまたイガイガさんのご協力をお願いしたいと
    思っております。

    遅ればせながら、今年も宜しくお願い致します。
    2021年01月16日 18:23
  • イガイガ

    レガーさん、ご無沙汰してます。
    本年も宜しくお願い致します。

    しかし、今回はマジでヤバかったですよ。
    こうして、コメントのやりとりできて嬉しいです(^^)
    メディアでよく耳にするクマと遭遇したときの対策、
    ほとんど無意味な絵空事ですね。
    ヤツらにマニュアルは通じませんからね。
    最終的にはパニクらず度胸を据えて、
    あとは運を天に任せるってことのようです。
    残念ながら。

    バックヤードでの協力は惜しみませんが、
    敬老会の幹事、ぜひともレガーさんお願いしま~す(^_-)-☆
    2021年01月16日 20:25
  • shiro

    イガイガさん
    生々しいレポートにビックリです。
    丹沢の熊は冬眠しないとは聞いてはいましたが、真冬に遭遇することはないだろうと思っていました。
    無傷で事なきを得たのは、まさしくイガイガさんの胆力が強かったからだと思いました。
    僕は幸いまだ熊に遭遇したことは無いのですが、万一の場合、肝を据えて対処できるのか・・・と、考えさせられました。
    2021年01月18日 11:33
  • イガイガ

    shiroさん
    肝を据えたなんてカッコイイことじゃなく、
    覚悟して諦めたというのが正しいです。

    多分、shiroさんならわかると思いますが、
    塩水林道ゲートの脇から・682に抜ける仕事道の途中です。
    背中をみせて駆けださないは絶対厳守。
    チマタでよく言われるクマ対応策のクマ鈴はほぼ無意味、
    爆竹やトウガラシスプレーは有効かもしれませんが、
    持参してもザックの中がほとんどなので、すぐに対応できない。
    結局のところ、山に行かないのが最善策のようです。
    2021年01月18日 19:27
  • M-K

    イガイガさん
    遂に接近遭遇となりましたね! 記事を読みながらわが身に置き換えて
    想像しました。 「ブルブルブル!」でございます。
    丹沢Vをやる限り自分も含みいつかは出合う可能性大な事項・・。
    先輩諸氏の体験談と共にイガイガさんの体験ですよね~。
    次は自分かも・・、の想定はいつも持って山に入っています。
    遭遇場面の環境の良し悪しが結果に大きく影響すると思いますが、
    今回は条件も良かったみたいでよかったですね。
    無事の生還、まずはなにより、おめでとうございました。
    2021年01月18日 21:33
  • イガイガ

    M-Kさん
    こちらが彼らの縄張りに踏み込んでいる訳ですから、
    襲ってこられても仕方ないですね。
    できることなら出遭いたくはありませんが、
    V派には付きもの、
    接触遭遇じゃなくてよかったです。
    2021年01月19日 13:01
  • アンヌ

    イガイガさん

    ご無沙汰しております。
    ご無事で本当によかったです。

    太い木の裏に隠れた行動力と判断力、さすがと思いました。
    熊は、人間の匂いには反応しないのでしょうか、
    猛スピードで駆け抜けていってしまうとは…。
    イノシシ超えの突進力ですね。恐ろしい。

    熊鈴は、本当に意味がないようで、
    丹沢以外の山域では、ほとんどの人が鈴を付けていません。
    ホイッスルやキリヤマの大声の歌も、熊には効果なしでしょう…。

    山の中では、五感をフルに研ぎ澄ませて歩いておりますが、
    いつ、自分が出会ってしまうか、わからない…。
    とても考えさせられました。
    2021年01月19日 20:09
  • イガイガ

    あらアンヌさん、コメントありがとうございます。
    本当にラッキーでした。
    熊も刺激しなければ
    おとなしくて臆病な動物なんだろうと思いますが、
    防衛本能がむき出しになると恐いです。
    なんせあの爪、あの牙、それに俊敏で怪力、
    向かってきたら絶体絶命です。

    でも大丈夫。
    キリヤマ隊長がデカい声で唄いだせば逃げだすと思いますよ。
    きっと🎵
    2021年01月19日 22:12
  • kaz

    ずいぶんご無沙汰しております。
    私も今まで丹沢で二度、南アで一度、大雪の東丹沢(七沢の上)では
    10mくらいのところで遭遇しました。
    いずれも勝手に逃げてくれたのでそんなに恐怖はなかったのですが、こっちに向かってくるとは恐ろしいですね。
    今年の丹沢は餌が豊富で出没は少ないと聞いていましたがやはり出ましたか。
    無事帰還できて何よりです。
    2021年01月19日 23:20
  • kazさん、ホントお久しぶりです。
    お元気ですか?

    以前、北アに連れて行ってもらったとき、
    種池山荘から針ノ木岳に向かう途中で
    降り始めたばかりの雪の上にでっかいクマの足跡、
    姿は見ませんでしたがニアミスありましたね。

    約20年間、年間80日ほど丹沢山中を歩き回っていますが、
    クマに遭ったのは4回、うち襲われたのは今回のみ
    確率的には交通事故より低いかなと思ってます (笑)
    2021年01月20日 07:47
  • ardbeg

    ご無事でなによりでした!!
    自分も鳥屋待沢付近で母熊が突進してきた事がありますが、その時は背中を向けて斜面を駆け降りました。段差を飛び降りたところで転んで木に引っ掛かって止まったので母熊の目に映らなくなって助かったのだと思います。強運も必要だなと思いました。
    2021年01月20日 08:29
  • イガイガ

    ホント、みなさんにはご心配おかけしまして恐縮です。
    今回無事だったのはタマタマ。山歩きしてればいつどこで遭遇するか分からないし、条件もタイミングもいろいろ。たしかに助かったのは強運かもしれませんが、出遭ったのは運が悪かったのでどうなんでしょうね。ビミョ~
    とりあえず、お互いリスクの多い山遊びなので十分気をつけましょう。
    としか言えない^^;
    2021年01月20日 09:39
  • ミックスナッツ

    ご無事で何よりです。
    熊は遭いたくないですよね。10年ほど前のミズヒノ頭での怖い記憶がよみがえりました。
    2021年01月21日 13:04
  • イガイガ

    ミックスナッツさん
    みんな一度や二度は恐いめにあっているようですね。たいていの場合、こちらのことなど無頓着でスルーなんですが、たまに気の荒いのがいるので困りものです。当日は暖かい日だったので、目が覚めたら腹ぺこで、機嫌が悪かったのかも…
    2021年01月21日 18:07